スイートピーは、春に甘い香りとフリルのような花びらを楽しめる人気の草花です。卒業や入学シーズンの切り花としてもおなじみですが、実は種から家庭でも十分に育てられます。
成功のカギは2つだけです。適期の秋(10〜11月)に種をまくこと、そして根を傷めないよう植え替えを最小限にすることです。
この記事では、スイートピーの育て方を種まきから収穫まで順番に解説します。つぼみが落ちる、花が咲かないといったよくある失敗の対策もまとめました。
スイートピーの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | Lathyrus odoratus |
| 分類 | マメ科レンリソウ属の一年草(つる性) |
| 原産地 | イタリア・シチリア島周辺 |
| 草丈 | つるあり品種150〜200cm、つるなし品種30〜80cm |
| 開花期 | 4〜5月(春咲き品種・露地栽培) |
| 日当たり | 日なた(1日6時間以上) |
| 耐寒性 | やや強い(-3℃程度まで) |
| 耐暑性 | 弱い |
品種は開花タイプで3つに分かれる
スイートピーは、花が咲くきっかけになる日の長さによって3タイプに分かれます。家庭の庭やプランターで育てるなら「春咲き」を選ぶのが基本です。
| タイプ | 特徴 | 向いている栽培 |
|---|---|---|
| 春咲き | 日が長くなると咲く。花が大きく、品種が最も豊富 | 庭・プランター(家庭向け) |
| 冬咲き | 日が短くても咲く。寒さに弱い | 温室での切り花生産 |
| 夏咲き | 日が長くなってから咲く。暑さにやや強い | 寒冷地の春まき |
種袋に「つるなし」「矮性」と書かれた品種は、草丈が低く支柱も簡単なので、プランターやベランダに向いています。
花言葉
スイートピー全体の花言葉は「門出」「優しい思い出」「別離」です。旅立つ花のような形にちなんだもので、卒業や送別の花束によく使われます。
スイートピーの種まき時期と方法
スイートピーの種まき適期は、中間地で10月中旬〜11月上旬です。発芽に適した温度は15〜20℃で、気温が下がり始めたころが目安になります。
| 地域 | 種まき時期 | 開花期 |
|---|---|---|
| 寒冷地 | 3月下旬〜4月(春まき) | 6〜7月 |
| 中間地 | 10月中旬〜11月上旬 | 4〜5月 |
| 暖地 | 10月下旬〜11月中旬 | 3〜5月 |
早まきすると冬までに株が大きくなりすぎて寒さで傷みやすく、遅まきすると根が張らないまま冬を迎えて花数が減ります。
種まきの手順
- 種を吸水させる:種皮が硬いので、まく前日にぬるま湯へ一晩つける。膨らまない種は、爪切りなどで種皮を少し傷つけてから再度水につける
- 直まきかポットまきを選ぶ:スイートピーは根がまっすぐ伸びる「直根性」で、植え替えを嫌う。花壇やプランターに直接まくのが最も失敗が少ない
- まく:直まきは20〜30cm間隔で1か所に2〜3粒、ポットまきは9cmポットに2〜3粒。深さ1〜2cmに埋めて土をかぶせる
- 水やり:たっぷり水を与え、発芽まで土を乾かさない。7〜10日ほどで発芽する
- 間引き:本葉が2〜3枚になったら、元気な1〜2本を残して間引く
ポイント: 発芽前の種はハトやナメクジに狙われやすいので、不織布や防虫ネットをかけておくと安心です。
植え付け・支柱・日々の育て方
土づくり:酸性土を嫌う
スイートピーは酸性の土が苦手です。植え付けの2週間前に、1㎡あたり苦土石灰100〜150gをまいて耕しておきましょう。1週間前に腐葉土や堆肥を混ぜ、水はけのよい土にします。プランターなら市販の草花用培養土で問題ありません。
植え付け:根鉢を崩さない
ポットまきの苗は、本葉が4〜5枚になったら植え付けます。根を傷めると生育が止まるため、根鉢を崩さずにそのまま植えるのが鉄則です。株間はつるあり品種で30cm、つるなし品種で20cmが目安です。
プランターで育てる場合
つるあり品種は、深さ30cm以上・幅60cm以上の大型プランターに2〜3株が目安です。ベランダなどでは、草丈の低いつるなし品種を選ぶと管理が楽になります。
支柱とネット:つるが伸びる前に
つるが伸び始める前の、草丈20cmくらいまでに支柱とネットを設置します。つるあり品種には高さ150〜180cmの支柱を立て、園芸ネットを張って巻きひげを絡ませましょう。最初の数本は、ひもで軽く誘引してあげるとネットに絡みやすくなります。
摘心でわき芽を増やす
本葉が4〜5枚になったら、先端を摘む「摘心」をします。わき芽が2〜3本伸びて、花の数が増えます。
水やり
庭植えは根付いたあとは基本的に雨まかせで大丈夫です。プランターは土の表面が乾いたらたっぷり与えます。冬は午前中に水やりし、夕方以降は凍結を防ぐため控えましょう。
肥料:窒素は控えめに
マメ科のスイートピーは、根に共生する根粒菌が空気中の窒素を取り込みます。窒素肥料を与えすぎると、葉やつるばかり茂って花が咲かなくなります。元肥は少なめにし、つぼみが見え始めた3月ごろから、リン酸とカリが多い液体肥料を2週間に1回与えましょう。
冬越し
中間地なら屋外で冬越しできます。寒風や霜が強い場所では、株元をわらや腐葉土で覆う(マルチング)か、不織布をかけて防寒しましょう。
スイートピーを切り花にする収穫と長持ちのコツ
スイートピーは、摘めば摘むほど次の花が咲く「切るほど咲く花」です。こまめに収穫すると、4〜5月の開花期にたくさんの切り花を楽しめます。
切りどきは「下の1〜2輪が開いたころ」
1本の茎についた花のうち、下の1〜2輪が開き、上はつぼみの状態が切りどきです。花瓶の中で上のつぼみも順に開いていきます。全部の花が開いてから切ると、日持ちが短くなります。
収穫は朝の涼しい時間に
茎に水分がたっぷりある朝に、茎をできるだけ長く残して切ります。水を入れたバケツを持っていき、切ったらすぐに水につけましょう。
花がらは必ず摘む
咲き終わった花を残すとさやができ、株が種づくりに栄養を回して花が止まります。切り花にしない花も、しおれたら早めに摘み取りましょう。
花瓶で長持ちさせるには
- 水に浸かる部分の葉や巻きひげを取り除く
- 浅めの水(3〜5cm)に生ける。スイートピーは茎が傷みやすく、深水に弱い
- 水は毎日替え、市販の切り花延命剤を使う
- 直射日光とエアコンの風が当たらない、涼しい場所に飾る
スイートピーの花瓶での日持ちは、一般的に3〜5日ほどです。延命剤を使うと、つぼみまでしっかり開きやすくなります。
よくある失敗と病害虫・注意点
よくある失敗と対策
| 症状 | 主な原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 発芽しない | 種皮が硬く吸水できていない、土の過湿で種が腐った | まく前に一晩吸水させる。水のやりすぎに注意 |
| つぼみが落ちる | 日照不足、急な低温や高温、水切れ | 日当たりのよい場所で育て、開花期は水切れさせない |
| 葉ばかり茂って咲かない | 窒素肥料のやりすぎ | 元肥を控え、つぼみが出たらリン酸・カリ中心の肥料に |
| 植え付け後に枯れた | 植え替えで根が傷んだ | 直まきにするか、根鉢を崩さずに植える |
| 花がすぐ終わる | 花がらやさやを放置した | 咲き終わった花はこまめに摘む |
注意したい病害虫
- アブラムシ:春先に新芽やつぼみに発生。見つけ次第、手で取るか薬剤で駆除する
- うどんこ病:葉に白い粉をまぶしたような症状。風通しをよくし、混み合ったつるを整理する
- ハモグリバエ:葉に白い筋状の食害跡。被害葉は取り除く
- ナメクジ・ハト:発芽直後の芽を食べる。不織布やネットで守る
連作障害に注意
スイートピーはマメ科のため、同じ場所で続けて育てると生育が悪くなる「連作障害」が出やすい植物です。エンドウやソラマメなどマメ科を育てた場所では、4〜5年あけて植えましょう。プランターの場合は、毎年新しい土を使えば問題ありません。
種やさやには毒がある
スイートピーの種やさやには毒性成分が含まれており、食用のエンドウとは違って食べられません。小さな子どもやペットが誤って口にしないよう注意しましょう。
スイートピーの育て方に関するよくある質問
Q. 春に種をまいても咲きますか?
咲きますが、秋まきに比べて株が小さく、花数も少なくなります。中間地では3月に種をまくと5〜6月に咲きます。暑さが来る前に花期が終わるため、春まきなら早めにまくのがポイントです。寒冷地では春まきが基本です。
Q. 苗から育ててもいいですか?
もちろん大丈夫です。秋から春にかけて園芸店でポット苗が出回ります。植え付けの際は根鉢を崩さないよう、そっとポットから抜いて植えましょう。
Q. スイートピーは毎年咲きますか?
一般的なスイートピーは一年草なので、花が咲いて種ができると枯れます。毎年楽しむには、秋に新しく種をまきましょう。毎年咲く「宿根スイートピー」は別の種類で、香りはほとんどありません。
Q. 自分で種を採って翌年まけますか?
採れます。花をいくつか残しておくと、さやが茶色く乾いて中の種が熟します。さやごと収穫して乾燥させ、紙袋などに入れて涼しい場所で秋まで保存しましょう。ただし、交配品種(F1)の場合は親と同じ花が咲かないことがあります。
Q. 香りが強い品種はありますか?
原種に近い「オールドファッション系」と呼ばれる品種は、花は小ぶりでも香りが強い傾向があります。種袋に「芳香性」「香りが強い」などと書かれた品種を選びましょう。
まとめ:秋にまいて、春に香りの切り花を楽しもう
スイートピーの育て方のポイントをおさらいします。
- 種まきは中間地で10月中旬〜11月上旬。まく前に一晩吸水させる
- 植え替えを嫌うので、直まきか根鉢を崩さない植え付けにする
- 草丈20cmまでに支柱とネットを用意し、本葉4〜5枚で摘心する
- 窒素肥料は控えめにし、つぼみが出たらリン酸・カリ中心の追肥を
- 花はこまめに摘み、さやを作らせないことで長く咲き続ける
今の時期(10月)はちょうど種まきの適期です。ぜひ今年の秋にまいて、春に自分で育てたスイートピーの香りを楽しんでください。


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