家庭菜園や畑をしていると、雑草との付き合いは避けて通れません。抜いても抜いても生えてくる雑草は厄介者に思えますが、見方を変えると、土の状態を教えてくれる「先生」であり、土を豊かにしてくれる「資材」でもあります。この記事では、雑草を上手に活かした土づくりの考え方と実践方法をご紹介します。
雑草は土の状態を映す鏡

雑草は、その場所の環境に合ったものが優勢になります。そのため、どんな草が多く生えているかを見ると、土のおおまかな性質を推測できます。こうした植物は「指標植物」と呼ばれます。
たとえば、ハコベ、ホトケノザ、ナズナ、シロザ(アカザ)などがよく茂る畑は、比較的肥えていて野菜が育ちやすい土であることが多いと言われます。やわらかい葉の草が元気に育つのは、養分と水分のバランスが取れている証拠です。
一方、スギナやスイバ、ヒメスイバが目立つ場所は、土が酸性に傾いている可能性があります。このような場合は苦土石灰や有機石灰でpHを調整すると、野菜が育ちやすくなります。オオバコが多いのは、人が歩くなどして土が踏み固められているサインです。深く耕したり、堆肥を入れて団粒構造を育てたりする必要があります。カヤツリグサやスズメノテッポウなどが多い場所は、水はけが悪く湿りがちな土と考えられ、畝を高くするなどの排水対策が有効です。
ただし、これはあくまで目安です。正確に知りたい場合は、市販の酸度計や土壌診断キットを併用するとよいでしょう。

雑草は「無料の有機物」
刈り取った雑草は、土づくりの貴重な材料になります。わざわざ購入しなくても、畑の中で有機物を循環させられるのが大きな魅力です。
草マルチとして使う
刈った草を野菜の株元や畝の上に敷く方法です。土の乾燥や急激な温度変化を防ぎ、雨による泥はねを抑えるため病気の予防にもつながります。敷いた草は時間とともに分解され、土の表面で微生物やミミズのエサとなり、ふかふかの土を育ててくれます。さらに光を遮るので、新たな雑草の発生を抑える効果もあります。
堆肥にする
刈り草を米ぬかや落ち葉、生ごみなどと合わせて積み、ときどき切り返しながら発酵させると、良質な堆肥になります。緑の草は窒素分が多く、枯れ草や落ち葉は炭素分が多いため、両方を混ぜると分解がスムーズに進みます。
すき込む
若い草を土に混ぜ込む方法もあります。ただし、生の草が分解される途中は、微生物が土中の窒素を使ったり、ガスが発生したりして、作物の生育に悪影響が出ることがあります。すき込んだ後は2〜4週間ほど期間を空けてから種まきや植え付けをするのが安心です。
根が土を耕してくれる
雑草の働きは地上部だけではありません。地中深くまで伸びた根は、固い土に隙間をつくり、水や空気の通り道を確保します。根が枯れた後にはその跡が細かな通路として残り、有機物として微生物のすみかにもなります。
この性質を積極的に活かすのが「草生栽培」という考え方です。果樹園や畑の通路などで、あえて草を生やしたまま管理し、伸びすぎたら刈るというサイクルを繰り返します。土の流出や乾燥を防ぎ、生き物の多様性を高める効果が期待できます。家庭菜園でも、畝の間の通路だけ草を残して定期的に刈る、といった取り入れ方が可能です。
上手に付き合うための注意点
雑草を活かすには、いくつか気をつけたいポイントがあります。
まず大切なのは、種をつける前に刈ることです。花が咲き種ができてから刈ってしまうと、マルチや堆肥を通じて種を畑中にばらまくことになり、翌年の草取りが大変になります。穂が出る前、花が咲く前を目安に刈り取りましょう。
次に、地下茎で増える多年草には注意が必要です。スギナ、ドクダミ、ハマスゲ(コウブシ)、チガヤなどは、根や地下茎の切れ端からでも再生します。これらを生のまますき込んだりマルチにしたりすると、かえって広がってしまうことがあります。根はしっかり乾燥させるか、十分に発酵させてから使うようにしてください。
また、作物のすぐ近くの草は競合相手になることも忘れてはいけません。特に発芽したばかりの小さな苗は、草に光や養分を奪われやすいので、株元周辺はこまめに除草しましょう。草が茂りすぎると風通しが悪くなり、害虫や病気の温床になることもあります。
まとめ
雑草は「全部抜くべき敵」ではなく、「土の状態を教えてくれ、土を育ててくれる存在」です。どんな草が生えているかを観察して土の性質を知り、刈った草はマルチや堆肥として畑に戻し、根の力も借りながら土を育てていく。そして、種をつけさせない、作物の近くは除草するといったメリハリのある管理を心がける。こうした付き合い方を続けることで、手間をかけずに年々豊かな土へと近づいていきます。
次に草取りをするときは、ぜひ足元の雑草をじっくり観察してみてください。そこには、あなたの畑の土からのメッセージが隠れているかもしれません。
マチ農園での土づくりの取り組み

ここからは、マチ農園で実際に行っている、雑草を活かした土づくりの様子をご紹介します。
高畝と深い溝で「水の逃げ道」をつくる
マチ農園の畑でまず目を引くのは、しっかりと高く盛り上げた畝と、その間に掘られた深い溝です。雨のあとには溝に水がたまり、畝の上は水に浸からずに済むようになっています。水はけの悪い土では、根が呼吸できずに傷んだり、病気が出やすくなったりします。溝を深く切って余分な水の通り道をつくることは、作物を植える前の大切な土台づくりです。
刈った草はそのまま畝へ

畑のまわりや畝で伸びた草は、刈り取ったあと捨てずに畝の上へ厚く敷き詰めています。夏の強い日差しから土を守って乾燥を防ぎ、雨で土が流れるのも抑えてくれます。敷いた草は少しずつ分解が進み、土の中の微生物や小さな生き物たちのごはんになっていきます。
手づくりの「ぼかし」で微生物の力を引き出す

刈り草の上には、マチ農園で手づくりしている「ぼかし」をまいています。材料は、発酵させた米ぬか、収穫後の野菜の残渣、牛糞、そしてえひめAIです。
えひめAIは、ヨーグルトや納豆、ドライイーストなど身近な食品に含まれる乳酸菌・納豆菌・酵母を、砂糖と一緒に培養してつくる微生物資材で、愛媛県の研究機関が開発したものです。これを加えることで、ぼかしの中の微生物がより活発に働くようになります。
米ぬかは微生物のエサとなり、野菜の残渣は畑から出たものを再び土へ返す循環の材料に、牛糞は土の中の有機物を増やしふかふかにする役割を担います。これらを発酵させたぼかしを刈り草の上に重ねると、草だけでは時間のかかる分解がぐっと進みやすくなります。畑で出たものや身近な資材を組み合わせ、微生物の力を借りながら土を育てていく。これがマチ農園の土づくりの中心にある考え方です。
土と混ぜて、植え付けのできる畝へ

分解が進んだところで、草や資材を土となじませ、畝の形を整えていきます。草に覆われていた畝が、黒っぽくしっとりとした土の畝へと変わっていく様子は、写真でも違いがはっきりわかります。こうして整えた畝に、これからの季節の野菜を育てていく予定です
手間をかけすぎず、続けられる土づくり

雑草を「抜いて捨てるもの」ではなく「土に返すもの」として扱うことで、作業の手間とゴミを減らしながら、年々土を豊かにしていくことができます。マチ農園では、これからも草と上手に付き合いながら、野菜がのびのび育つ土づくりを続けていきます。
草を上手く使う事で除草剤、農薬、化学肥料を使わない野菜を食卓にお届けしています


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